お茶には緑茶やウーロン茶、紅茶など様々な種類がありますが、その違いを説明できる人は少ないように思われます。これらの違いはいったいどのようなところにあるのでしょうか。


そこで今回は、緑茶・ウーロン茶・紅茶の種類や特徴、製法の違いについて解説していきます。

それぞれのお茶の特徴を知れば、好みや気分に合ったお茶を楽しむことができるようになるでしょう。



1.緑茶・ウーロン茶・紅茶は全て同じ樹からできている!

お茶にはほうじ茶や鉄観音、ダージリンなど様々な種類がありますが、これらの原料は基本的にツバキ科ツバキ属の常緑樹「カメリア・シネンシス」の茶葉です。同じ原料から出来ていても製造工程の違いによって全く別の味や香りになります。


お茶は発酵の度合いによって大まかに3つに分かれており、発酵させないように茶葉を摘んですぐに加熱処理をしたものが緑茶、半分程度発酵させたものがウーロン茶、完全に発酵させたものが紅茶です。


その中でも栽培方法や製法の違いによってさらに種類が分かれます。次章以降で、緑茶・ウーロン茶・紅茶の詳しい種類をみていきましょう。



2.【緑茶】の種類

発酵させずに作る不発酵茶に分類される緑茶の中にも、加熱方法や使用する茶葉の部分によって様々な種類があります。ここでは代表的な緑茶5種類をみてみましょう。


煎茶

煎茶は日本人にとって最も馴染み深いお茶といえるでしょう。摘み取った新芽をすぐに蒸して乾燥して作られます。程よい渋味とさわやかな香りですっきりと飲みやすいのが特徴です。


番茶

硬くなったり伸びすぎたりした葉や茎を使用して作るのが番茶です。日本の主流から外れた番外のお茶という意味があります。旨味、甘味、苦味成分に加えてカフェインも少なく、さっぱり飲める体に優しいお茶です。


ほうじ茶

ほうじ茶は煎茶や番茶を強火で炒って香ばしさを引き出したお茶です。炒ることでカフェインが昇華するため、苦味や渋味が無くなりすっきりと軽い味わいになります。食後やデザートに合わせるのがおすすめです。


玉露

玉露は新芽が伸びだした頃から20日ほど覆いをして日光をさえぎって育てる茶葉で、その手間から高級茶として有名です。光を制限して育てることでカテキンの生成が抑えられ、渋味が少なく旨味が豊富なお茶になります。


抹茶

抹茶は玉露と同じように日光を避けて育てた茶葉を石臼で挽いて粉末状にしたものです。渋味をほとんど感じないまろやかな甘味が特徴で、スイーツの材料としても重宝されます。近年では海外でも人気のあるお茶の1つです。



3.【ウーロン茶】の種類

日本でもお馴染みのウーロン茶は、ある程度発酵させた後に火入れを行い、発酵を止めて作る半発酵茶に位置します。代表的なウーロン茶は以下の4つです。


鉄観音

ウーロン茶の代表品種である鉄観音は、半発酵させた鉄観音種の茶葉を強く揉みこみ、乾燥焙煎して作ります。甘いお茶といわれることがあるくらい、フルーティーですっきりとした飲みやすいお茶です。


黄金桂

黄金桂は中国の福建省安渓地区でごく少量しか生産されておらず、希少価値の高いお茶として有名です。キンモクセイの香りがすることから「金のお茶」と呼ばれています。苦みや渋みがなく甘みの残る味わいが特徴です。


閩北水仙

閩北水仙は、名前の通り閩の北部で生産されています。味わいで水仙に並ぶものはないといわれるほど中国国内でも評価されており、生産量も多くウーロン茶全体の半分を占めるほどです。芳醇な味わいとまろやかな口当たりで、飲んだ後に甘味が残ります。


東方美人

東方美人は台湾で生産されるウーロン茶で、新芽をウンカという虫に食べさせてから摘採する独特な手法で作られます。フルーティーではちみつや紅茶のような味わいなので、甘めなお茶が好きな方におすすめです。



4.【紅茶】の種類

紅茶は摘採した茶葉をある程度乾燥させて揉みこみ、高温多湿の環境で完全に発酵させて作る全発酵茶です。世界のお茶の生産量の約70%を占めており、お茶の中で最も消費されています。今回は代表的な紅茶を4種類みていきましょう。


ダージリン

インドで生産されるダージリンは、世界3大紅茶の1つです。深いコクのある味わいにフルーティーでマスカットのような爽やかな香りがあり、紅茶のシャンパンといわれています。年に3回収穫され、時期により味や香りの変化を楽しめるのも特徴です。


アッサム

アッサムは世界最大の紅茶の産地であるインドのアッサム地方で作られ、豊富な雨や高温多湿の環境から独特な甘味のある紅茶になります。ミルクとの相性が抜群なので、ミルクティー好きにおすすめです。


セイロンティー

セイロンティーはスリランカで作られた茶葉の総称で、その中でもディンブラ、ウバ、キャンディが代表的です。

ディンブラはさわやかな風味と香りでストレートでも飲みやすく、ウバは芳醇な香りとクセのある苦味が特徴でミルクティーによく合います。キャンディはシンプルでさっぱりとした味わいで多くの人に好まれやすいです。


フレーバーティー

フレーバーティーは、茶葉にフルーツやスパイス、花びらなどの香りをつけて作ります。有名なアールグレイティーも柑橘系の香りをつけたフレーバーティーの1つです。茶葉のブレンドとフレーバーの違いによってさまざまな種類があるので、その日の気分や用途に合わせて選びましょう。



5.他にもある!お茶の種類

これまで、お茶の樹から採れる茶葉を原料として、酵素によって発酵させるお茶を紹介してきました。

しかし、他にも違った発酵法で作られるものや茶葉を原料としないお茶も存在します。


例えば、プーアル茶や碁石茶、阿波茶など後発酵茶と呼ばれるお茶は、茶葉の酵素で発酵させるのではなく、乳酸菌や麴菌などの微生物によって発酵させて作ります。


また、麦茶やそば茶、昆布茶、ハーブティーのように茶葉を使用しない茶外茶と呼ばれるお茶もあります。麦茶なら大麦、そば茶ならそばの実が原材料です。



6.まとめ

緑茶・ウーロン茶・紅茶はすべて同じ茶葉から作られており、発酵度合いによって味や色の違いが現れます。

発酵をさせていないものが緑茶、半分程度発酵させたものがウーロン茶、完全に発酵させたものが紅茶です。


緑茶・ウーロン茶・紅茶の中でも製造方法や使う茶葉の部分などによりさらに分類されます。作り方が少し違うだけでさっぱりとした味わいになったり、味に深みが出たりといった変化が見られます。


他にも、お茶には麦茶やそば茶のように茶葉を使用しないものもあります。さまざまなお茶を試してお気に入りの一杯を見つけてみてはいかがでしょうか。